林田玲奈さんの実業団ラストレースは2017年のプリンセス駅伝、1区でした。
今回の記事では、林田さんのラストレースを振り返りながら、「メンタルの強さ」について考えてみたいと思います。

林田さんはラストの競り合いまで集団につき、何度かスパートをしかけ、トップと10秒差の区間11位で襷をつなぎます。
全日本実業団では故障明けからまだ日も浅く、10000mを34分台で走っていました。
それから僅か1か月、1区7㎞を23分34秒で走ります。
スローペースとはいえ台風の影響による強風の中、終盤まで離されなかった。
ここまで復調した理由には、効率よくしっかり走り込めたことが挙げられます。
離されて前に追いつこうとするとき、ほとんどの人が「根性」で喰らいつくイメージを持つと思います。
しかし本来のメンタルの強さとは、どれだけ集中しどこまで冷静でいられるかということだろうと私は考えています。
集中と冷静さを維持出来ているならば、集団から離れても弱っているからではなく、自分の意志で「ペースが速いから離れておこう」というようになるはずです。
「もうだめだ」と離れてしまう時、選手は既に集中の糸が切れ冷静さを失っています。
そこで「喰らいつけ!」と声をかけても時既に遅く、追いつくことはまずありません。
スパートを仕掛けるとき、必要になるのは決断と勇気です。
その決断と勇気は、集中と冷静さがなければ生まれません。
集中と冷静は、日々の練習で培われるものです。
練習内容に不満や疑問があったり、練習不足だと選手が感じるようでは望めません。
そして観戦者は、他でもない選手の「勇気」から元気をもらうのだと思います。
決断を実行できたレース後の選手は、結果はどうであれ充足しているはずです。
林田さんのラストレースがまさにそうだったと思います。
スタートラインにつく前から集中していたように感じました。
「今できる走りをする」と覚悟を決めて臨めたのでしょう。
さて、ここまで「メンタルの強さ」と表現してきましたが、正確には、メンタルは強弱で測れるものではありません。
強弱ではなく、メンタルの状態が良いか悪いか、整っているか乱れているか、で判別されるものです。
そう考えると、鍛えるべきは根性や我慢強さではなく、メンタルの整え方と維持する方法ということになります。
これこそがメンタルトレーニングの目的になります。
弱気な人、心配性な人の中には
「自分はメンタルが弱い」と口にする人がいます。
はっきり言うと、それは間違いです。
メンタルの捉え方はもちろん、そう思うこと自体、間違っています。
不安になりやすい人が弱いとは限らないからです。
自信とは、不安の上に纏うものだと私は思います。
自信が持てないなら、剥き出しの不安のままでも良いのです。
不安を抱えたまま集中すればよく、その方法を見つければいい。
最後にもう一度、まとめておきます。
「自信とは不安の上に纏うもの」
「弱気で心配性の人が弱いとは限らない」
「メンタルは強弱ではなく、心理的な状態の良し悪しで捉えるもの」
「スポーツにおけるメンタルとは、『どれほど集中しどこまで冷静でいられるか』である」