2018年2月、日本選手権20㎞競歩を観戦するため神戸へ行きました。
目的は広島大学4年の山田千花さん。
この大会が引退レースでした。
これまでにも競技場で競歩を観戦したことはありますが、女子トップ選手の歩きを目の前に見るのは久しぶりのことでした。
どれだけ久しぶりだったかと言うと、バルセロナ五輪に出場した板倉美紀さんの練習風景を見て以来。
板倉さんは石川県の寺井高校在学中に五輪選手となった天才でした。
1992年、5000mWで出した記録は22分25秒58で、これは30年以上たった今も高校歴代9位の記録です。
2013年6月、当時興譲館高校の3年生だった山田千花さんは、板倉さんの記録を上回る22分21秒02をマークします。
高校時代から第一線で活躍してきた選手でした。

その山田さんの引退レース。
久々に見た競歩は、選手との距離が近く、呼吸音、足音、表情…五感を通じて選手の「今」が自分の内に飛び込んでくるようで圧倒されてしまいました。
しかも2㎞のコースを10周するので、選手は何度も目の前を通過しますから、どんどん圧倒されていくことになります。
山田さんの歩く姿からも様々な想いが伝わってくるかのようでした。
ゴールが近づくにつれ、渾身の歩きがただひたすら眩しかった。
レース後、少しお話させていただいた山田さんの人柄がまた魅力的でした。
千花の名の通り、千の花を持っているような方です。
それは今も変わりません。
生涯、記憶に残るレースはそう多くありませんが、山田さんのラストウォークの姿は間違いなくそのひとつとなったのでした。