女子長距離選手で素晴らしい接地で走っている選手は誰だろうかと考えてみると…
4人の名前が浮かんできます。
ストライドで走るタイプでは田村有紀さんと吉田香織さん、ピッチで走るタイプでは高橋尚子さん、そして西澤果穂さんです。
昔、西澤果穂さんを紹介した記事の中で私は
「天性のミッドフット着地、力みのないコンパクトな腕振り、軽快なピッチ…とても理想的な走り方をしている選手だと感じました(~中略~)長い距離を走るなら西澤さんの走り方が限りなく理想に近いと思います」
と述べたことがあります。
これまで多くの選手を見てきましたが、西澤さんの走りは群を抜いています。
実際、私はまだ10代の頃の西澤さんに
「マラソンに取り組んだら高橋尚子さんのように走れると思う」と言ったことがあります。
その頃の動画です。
ゼッケン141番が西澤さんです。
このレースは全日本実業団のJr女子3000mですから、周りを走るのは西澤さんと同世代のトップ選手ばかりです。
周囲の選手と比較しても、西澤さんは力みのない軽快なピッチで走っていることが分かるかと思います。
この動画をスロー再生してみると…
軽快なピッチの源となっているのが、足の中心での接地、ミッドフット着地であることが分かります。
西澤さんは、足を地面に置くように走ります。
足裏全体を重心の真下に置くので、地面からの反発を最大限活かし次の一歩へと繋げることが出来るのです。
ランニングが「コントロールの効いた落下」であるとするならば、西澤さんは最もコントロールに長けたランナーだと言えるでしょう。
高校2年生の頃にはこの接地で走っていたので、意識して走っているのではなく、自然と身に着いた天性のものだと思われます。
では一般の市民ランナーが、意識して西澤さんのようなミッドフット着地をすることはできるのでしょうか?
結論から言うと、ある程度出来るようになります。
接地を改良するトレーニングは多々あるのですが、1分間に190回前後のピッチとテンポを維持することも一つの方法だと言えます。
個人差があり必ず出来るとは言い切れませんが、坂道やペースに関係なくこのピッチ数で走ることに慣れてくると、自然とミッドフット着地かそれに近い接地が出来るようになっている可能性は高いでしょう。
ところで、どんな走りであれフォームを維持するには、それだけの体幹の強さが必要になってきます。
フォームを崩さずにフルマラソンを走り切るには、42㎞を走り切る体幹が必要だと考えて間違いありません。
当然、ピッチを維持するにも体幹の強さが必要です。
言い換えれば、ミッドフット着地によるピッチ走法が出来るのであれば、ジョグとペース走、それに体幹トレーニングだけでサブ4レベルには到達出来ることでしょう。
ここ数年、西澤さんは市民ランナーの練習会や記録会にコーチやペースメーカーとして参加する機会が増えています。
西澤さんの何気ないジョグの接地ひとつも、多くの市民ランナーにとってはお手本となることでしょう。
機会のある方はぜひ参考になさってください。
走り方は生き方に通じている…西澤果穂さんの「走り方」、そして一歩一歩の「着地点」を、これからも見守りたいと思います。